これって物忘れ?それとも・・・
これって物忘れ?それとも…… 今日は、ひ孫の顔を見せに父のところへ行ってきました。 「ひ孫の○○を連れてきたよ〜」 いつもと違う、ちょっと丁寧な挨拶をしてみる。 父は「ん? どうしたん?」という顔で 不思議そうな顔でこっちを見ていた 話が弾むなか、母がひ孫を抱きながら言いました。 「これは、誰かな〜」 ??な父 「毎日名前を言わんと忘れるでしょう。誰かな〜?」 出た、 「名前テスト」 本当は「テストみたいな聞き方はプレッシャーになるんだよ」 と言いに行ったはずなのに 母の「これはリハビリなんだ、忘れてほしくないんだ」 という切実な思いが透けて見えて 結局何も言えませんでした。 父が少し悩み「最初の文字は、何かな」 母が1文字ヒントを出す。 「……あ、そうか、○○ちゃんか!」 正解した時の父の嬉しそうな顔。 それを見て満足げな母。 「加齢による物忘れ」だと思い込む母の横で 僕は「まあ、これはこれで今の二人のリズムなのかな」 と自分を納得させるしかありませんでした。 ところが、ここからが「父ちゃん先生」の本領発揮です。 ひ孫を見つめて、父がしみじみと言いました。 「1週間見なかったら、しっかりしてきたなあ〜」 驚き、そして成長を喜ぶ満面の笑み。 その3分後。 「1週間見なかったら、しっかりしてきたなあ〜」 ……さっき聞いたよ、と思いながらも軽く聞き流す僕。 さらに3分後。 「1週間見なかったら、しっかりしてきたなあ〜」 「寝返りもできるようになったしね」と、一応答えてみる。 さらに3分後 。 「1週間見なかったら、しっかりしてきたなあ〜」 「……父ちゃん、もう聞いたよ」と、優しくツッコんでみる。 そして、そのまた3分後 。 「1週間見なかったら、しっかりしてきたなあ〜」 毎回、人生で初めてその事実に気づいたかのような、新鮮な驚きと喜び。 最後の方は、もう誰も何も言いませんでした。 ただただ、3分おきに父の心の中に 「ひ孫の成長」という新しい感動を みんなで眺めているような時間。 結局、何しに行ったんだっけ? 「テストはダメ」と釘を刺しに行ったはずが、気づけば父の無限ループに巻き込まれ、最後は「そろそろ帰るわ」と退散。 結局、何も変えられなかったし、何も言えなかった。 でも、ひ孫を見てあんなに何度も新鮮に喜べる父は 人の何倍も幸せなのかも 母のテストも、父のループも、全部...